絶滅危惧種のサラブレッド野菜。
伝統野菜とは・・・簡単に言うと「野菜のサラブレッド」です。近年ですと「京野菜」「加賀野菜」などが広く知られるところとなりましたが、大阪にも「なにわ伝統野菜」という、古くから種や栽培法を受け継ぎ、その土地土地で守られてきた野菜があります。スーパーなどで扱われる、品種改良を重ね大量に生産することが可能な野菜とは異なり、大きさ・形が不揃いで収量が少ないため流通しにくいことや、生産農家の高齢化、継承者の減少などの理由から、一般に出回ることがほとんどなくなってしまった、言わば絶滅危惧種の野菜です。
やおやキッチンは、NPO法人「浪速魚菜を守る会」の一員として、伝統野菜の復興・維持・継承のための活動に賛同しています。この稀少な「なにわ伝統野菜」を生産農家から直接買い付け、消費者の皆様にお届け出来ることは、わたしたちの誇りです。100年以上前からなにわの人々の食文化を支えてきた伝統の味を、ぜひご家庭でもお楽しみ下さい。
※出来高が気候に左右されやすいこと、収穫期間が短いことなどから入荷状況は変動します。
認証の基準
- 概ね100年前から大阪府内で栽培されてきた野菜であること
- 苗・種子等の来歴が明らかで大阪独自の品目、品種であり、栽培に供する苗・種子等の確保が可能であること
- 大阪府内で生産されていること
河内蓮根 (かわちれんこん)
収穫期:10月末~4月初旬
日本最古の歴史書「古事記」に門真を含む河内地域の蓮 (はす) に関する記述があるという。門真市大字北島で付近の池に自生していた地蓮を湿田で栽培するようになったのが始まり。自生種が貧弱な根であったため収益が上がらないと懸念され、大正時代に品質・収量性に優れた「加賀」「備中」の二品種により品種改良を加えられた。肉厚でもちもちした食感。
高山真菜 (たかやままな)
収穫期:11月末~3月上旬
400年以上昔、高山右近の生誕地として知られる山間の地、豊能町高山に隠れキリシタンが移り住んだ頃に栽培が始まったと考えられる菜花 (菜種菜) で、種は他の種と交配することなく代々自家採取され受け継がれてきた。茎まで柔らかく風味が豊か。輸送に不向きなため加工されたものが一般には流通している。
難波葱 (なんばねぎ)
収穫期:10月下旬~3月初旬
大阪市の難波駅周辺で江戸時代から盛んに栽培されていたネギ。葉の繊維が柔らかく、強いぬめりと濃厚な甘みが特徴で、株立(分けつ) が多いという性質は、明治時代の文脈にも紹介されている。鴨とネギが入ったうどんを「鴨なんば」と呼ぶのはこの難波葱に由来したもの。九条ねぎの先祖とされる。
毛馬胡瓜 (けまきゅうり)
収穫期:6月初旬~8月中旬
大阪市都島区毛馬が起源とされる黒いぼキュウリ。奈良漬け用に用いられていた。果頂部より緑色→淡い緑白色→黄色の果肉の色が特徴。細身で歯切れがよく苦みのある品種。
玉造黒門白瓜 (たまつくりくろもんしろうり)
収穫期:7月初旬~9月中旬
大阪城の玉造門付近が発祥地。「黒門」の名は玉造門が黒塗りでであったことに由来する。果長約30㎝、太さ約10㎝の長円筒形。実の色は濃緑色で、8~9条の白色の鮮明な縦縞がある。食感が良く瑞々しい。
天王寺蕪 (てんのうじかぶら)
収穫期:11月初旬~1月下旬
「名物や蕪の中の天王寺」(与謝蕪村)、「此頃は蕪曳くらん天王寺」(正岡子規) など著名な歌人の詠にも登場する扁平な形の甘い蕪。急激な都市化で明治末期から大正時代にかけて姿を消してしまうが1995年に天王寺区で種が発見され、研究により正当な子孫であることが判明した。信州の野沢菜の原種であるとされる。
田辺大根 (たなべだいこん)
収穫期:11月初旬~1月下旬
大阪市住吉区の田辺地区の特産であった。江戸時代の「名物名産略記」(1836) にもその記載がある。実の長さは20㎝ほどで丸みがあり裾に向けて緩やかに膨張する。緻密な肉質で柔らかく甘みに富む。
貝塚早生玉葱 (かいづかわせたまねぎ)
収穫期:4月下旬~5月下旬
大阪府南部、泉南地域で明治時代に選抜された黄色玉葱の代表品種。肉質は柔軟で、瑞々しく甘みが強い。生食にも向いているためサラダ玉ねぎとも呼ばれる。早生のものほど球形が扁平となる。
碓井豌豆 (うすいえんどう)
収穫期:4月中旬~5月初旬
明治時代に羽曳野市碓井地区にアメリカ合衆国から導入され改良されたむき実用えんどう。小型でさやと豆の色合いは淡い。甘みが強いのが特徴。関西地区では豆ごはんの豆として親しまれる。
高山牛蒡 (たかやまごぼう)
収穫期:11月
豊能町高山地区で江戸時代から栽培されている牛蒡。色は黒く実は太いが柔らかく香りが強いのが特徴。江戸時代より肥えた物は市場価値が高く「高山牛蒡なしに年は越せない」と言わしめるほど人気があった。
鳥飼茄子 (とりかいなす)
収穫期:7月初旬~8月下旬
大正から昭和初期にかけて旧鳥飼村全域で栽培され非常に人気があった。生産は一時途絶えたが、辻幸太郎氏が栽培を再開。絶滅せずに受け継がれている。重量感のある丸い形と緻密な果肉が特徴。
吹田慈姑 (すいたくわい)
収穫期:11月初旬~12月下旬
吹田市で江戸時代以前から自生していたもの。現在一般に流通している大型の中国クワイとは異なる水生植物「オモダカ」の変種で小粒。えぐ味が少なく栗のようなホクホクした甘さがある。
金時人参 (きんときにんじん)
収穫期:11月初旬~12月下旬
江戸時代から昭和初期にかけて大阪市浪速区付近の特産であった。別名「大阪ニンジン」と呼ばれる。大阪市農業誌でも大阪市のもっとも誇るべき特産の一つと明記されている。根身は長さ約30㎝で細長く色は深紅色。肉質は柔軟で甘みと香りが強い。
守口大根 (もりぐちだいこん)
収穫期:12月
世界最古の大根。近年、世界最長の大根としても認定された。安土桃山時代の発祥。大阪天満宮周辺で生産されていた「大阪宮前大根」の香の物を愛でた豊臣秀吉が「守口漬」と名付けたことから「守口大根」と呼ばれるようになったとされる。1m以上の細長い実形が特徴的。食感が良く大阪では乾物としても利用されていた。
勝間南瓜 (こつまなんきん)
収穫期:8月中旬~10月中旬
絶滅したと思われていた種が見つかったのは西暦2000年。古老に試験栽培したものを確認してもらったところ、本物と証言を得たとされている。大阪市西成区玉出町 (旧勝間村) が発祥地。900g弱と小型で縦縞と瘤のある粘質の日本かぼちゃ。熟すと果皮が濃緑色から赤茶色になる。水分が多くあっさりとした味わい。
三島独活 (みしまうど)
収穫期:2初旬~3月中旬
自生する野生植物を栽培化した、数少ない日本原産の野菜の一つ。隠れキリシタンの里であった大阪府北部茨木市の三島で代々守られてきた。わらと干し草を7層積み、発酵させることで熱をつくり独活を成長させる江戸時代から続く伝統農法で栽培されるが、その重労働がゆえに生産農家は現在1軒にまで減少してしまった。純白で太く柔らかな食感で香りが高い。
大阪白菜 (おおさかしろな)
収穫期:通年
白菜の一種「山東菜」と「体菜」または白菜との交雑によってできた品種だと考えられている。江戸時代から栽培が始まり、大阪市の天満橋付近で栽培が盛んであったことから「天満菜」とも呼ばれる。癖のないしろな。
源八もの (げんぱちもの)
収穫期:通年
明治時代初期、大阪市北区源八付近で栽培が栽培が盛んであったため、芽紫蘇などの芽物が「源八もの」と呼ばれるようになった。青芽と赤芽があり、独特な香気と色合いを持つ。平成17年の伝統野菜認証後、栽培農家が廃業したため現在大阪には存在しないとされる。
服部越瓜 (はっとりしろうり)
収穫期:7~8月
大阪北部の高槻市塚脇地区で栽培されていた瓜。近隣の富田は酒処であったため「富田漬」という粕漬にされるのが一般的であった。江戸時代にこの地を訪れた徳川家康がこの「富田漬」をたいそう気に入り、やがて幕府献上品にまでなったと伝えられている。